PANE(パーネ)の種類はたくさんあって、各地特有のPANE(パーネ)もあって、イタリア中のPANE(パーネ)の全種類は相当な数になるだろう。
ローマで普通に食べるのはPAGNOTTA(パニョッタ)とかCASARECCIO(カサレッチョ)とか呼ばれる大型のPANE(パーネ)。一個2キロくらいある。
のこぎりのようなパン切りナイフか大き目の包丁でゴリゴリ切って食卓に出す。
外側は「耳」なんて生やさしいものではなく、「革」だ。
ゴリゴリ切っていると、5ミリほどの厚味のある「革」の破片が飛び散る。
直径50cmほどのPANE(パーネ)を全部切り終わるとかなりくたびれる。
でも、このでっかいPANE(パーネ)を丸ごと買うのはお客さんが大勢ある時だけだ。
だからお客さんからPANE(パーネ)切りの有志をつのったりする。
普段はPANETTERIA(パネッテリーア)で、「半分」とか「1/4」とか言って切ってもらって、必要な分だけ買えばいい。
新鮮なPANE(パーネ)の革は香ばしく、ローマ人は革の方を好む。柔らかい白身の方を残す人が多い。
日本から来たばかりの頃は硬い革を持ったこのPANEがなんとも口に余る。口の中を怪我しそうな気がする。追加した甘味はなく、なんだか味気ない。
ところがこのPANE(パーネ)こそ、イタリアの料理に合っているのだ。
PANE(パーネ)の一片をトマトソースや肉汁につけるとおいしい。
一番感じたのは生ハムを日本へ持って帰った時。食パンの甘さは生ハムには余計だった。
:今日の単語:
PANE
PANEはイタリア生活になくてはならないもので、PANEが登場することわざや格言がたんまりあります。
●PANEのように好い人。
●PANEがある者は歯がなく、歯がある者にはPANEがない。
●白いPANEを食べる。(いい暮らしをする)
●PANEのように売れる。(飛ぶように売れる)
●煮たPANEでなければ、PANEいりスープだ(言い方が違うだけで同じ事)
なんていうのは、今でも普通の会話にしょっちゅう出てくる言い方です。
ローマから吹く風 その19:4月11日発行
次回をお楽しみに!